Make(旧Integromat)は、ノーコードで複数のアプリ・サービスをつなぎ合わせ、繰り返し発生する業務を自動化できるワークフロー自動化ツールです。Google スプレッドシートへのデータ転記、Slackへの自動通知、問い合わせフォームからCRMへの登録など、毎日手動で行っている作業を「シナリオ」として組み立てるだけで自動化できます。本記事ではMakeで実現できる業務自動化シナリオ12選を中心に、料金・他ツール比較・導入5ステップ・活用事例・失敗パターンまで網羅的に解説します。
当協会がDX支援の現場で感じるのは「ツールは導入したが、ツール同士が連携していないため担当者が手動でデータを転記している」という課題が中小企業に非常に多いことです。Makeはまさにそのギャップを埋める役割を果たし、実際にAI・DXの専門的な支援の場面でも頻繁に活用しています。
Makeとは〜ノーコード自動化ツールの全貌
Makeの概要と特徴
Makeはチェコ発のクラウドサービスで、2012年にIntegromatとして創設され、2022年にMakeへ改名しました。現在は200以上のアプリ・サービスと連携でき、視覚的なフロービルダーでシナリオを作成できます。プログラミング不要でありながら、条件分岐・ループ・エラーハンドリングなど高度な処理も実現可能です。
ZapierやPower Automateとの位置づけ
自動化ツールのなかでMakeが特に選ばれる理由は「複雑なデータ変換と分岐処理をビジュアルで設計できる」点にあります。シンプルな1対1の自動化ならZapierが手軽ですが、複数ルートの分岐やループを含む処理はMakeが圧倒的に得意です。Power Automateは主にMicrosoft 365環境に最適化されているのに対し、MakeはGoogle系・Slack・Notionなどマルチプラットフォームに強い点が中小企業には魅力的です。
Make料金プラン〜中小企業向けの選び方
プラン別料金と特徴
| プラン | 月額(年払) | オペレーション数/月 | 主な特徴 |
|---|---|---|---|
| Free | 無料 | 1,000 | シナリオ2本、15分間隔実行 |
| Core | 約1,200円($9) | 10,000 | シナリオ無制限、5分間隔実行 |
| Pro | 約2,700円($16) | 10,000〜 | 高度なオペレーション、1分間隔実行 |
| Teams | 約5,400円($29) | 10,000〜 | チーム共同編集、ログ管理 |
※料金は2026年6月時点。最新情報は公式サイトをご確認ください。中小企業の多くはCoreプランから始め、処理量に応じてProへ移行するケースが多いです。
Make・Zapier・Power Automate〜競合ツール比較
機能・価格・向いている用途の違い
| ツール | 月額(目安) | 得意なこと | 向いている企業 |
|---|---|---|---|
| Make | 無料〜$16〜 | 複雑な分岐・ループ・データ変換 | Google・Slack系ツールを多用する企業 |
| Zapier | 無料〜$19.99〜 | シンプルな1対1の自動化、設定が簡単 | 初めて自動化に取り組む企業 |
| Power Automate | 無料(M365含む)〜 | Microsoft 365との深い連携、デスクトップ自動化 | Microsoft 365を中心に使う企業 |
Makeで実現できる業務自動化シナリオ12選
①問い合わせフォーム→CRM自動登録
Webサイトの問い合わせフォーム(Googleフォーム・HubSpotフォーム等)に新規入力があった瞬間、MakeがHubSpotやSalesforceにコンタクト情報を自動登録し、担当者にSlackで通知を送ります。手入力ミス・登録漏れをゼロにできます。
②受注データ→スプレッドシート自動集計
EC・受注管理システムの売上データをGoogle スプレッドシートに毎日自動転記・集計します。月次レポート作成にかかる作業時間を大幅に削減できます。
③Gmailの添付ファイル→Googleドライブ自動保存
特定のラベルが付いたGmailの添付ファイルを、自動的に指定フォルダへ保存します。請求書・見積書の受領処理が自動化されます。
④新規顧客登録→ウェルカムメール自動送信
CRMやスプレッドシートに新規顧客が登録されたタイミングで、Gmailまたは一斉配信ツールからウェルカムメールを自動送信します。
⑤Slack特定チャンネル→議事録自動生成
会議後にSlackの特定チャンネルへ投稿したメモをMakeが取得し、Notionのデータベースへ自動転記します。
⑥SNS投稿スケジュール自動化
Googleスプレッドシートで管理したSNS投稿予定をMakeが読み込み、X(旧Twitter)・Facebookへ指定日時に自動投稿します。
⑦在庫アラート→発注メール自動送信
在庫管理スプレッドシートの数値がしきい値を下回ったとき、MakeがGmailで仕入先へ自動発注メールを送信します。
⑧支払い完了→請求書PDF自動生成
Stripe等の決済ツールで支払いが完了したら、Makeが請求書PDFを自動生成し、顧客メールアドレスへ送付します。
⑨採用応募→選考ステータス管理自動化
採用フォームへの応募をMakeが受け取り、スプレッドシートに記録しつつ、担当者Slackへ通知と応募者への受付確認メールを同時送信します。
⑩カレンダー連携→会議リマインダー自動送信
Googleカレンダーの予定を読み取り、会議1時間前に参加者全員のSlackへリマインダーを自動送信します。
⑪アンケート回答→集計・レポート自動化
Googleフォームのアンケート回答をMakeがリアルタイムで取得し、スプレッドシートへ集計して週次でSlackへ送信します。
⑫Notionタスク完了→Slack/メール報告
Notionのタスクボードでステータスが「完了」に変わったとき、MakeがSlackへ完了通知と週次進捗サマリーを自動作成します。
Makeの導入5ステップ
Step 1:アカウント作成とFreeプランで試す
まずmake.comでアカウントを作成し、Freeプランで小規模なシナリオから試します。既存ツールのAPIキー・OAuthを準備しておきましょう。
Step 2:最も「手間のかかる繰り返し作業」を1つ選ぶ
自動化対象を欲張らず、毎日・毎週行っている手作業で最もコストがかかるものを1つ選びます。問い合わせ管理やデータ転記がよい出発点です。
Step 3:シナリオを作成する(トリガー→アクション)
Makeのビジュアルエディターでトリガー(何をきっかけに動くか)とアクション(何をするか)をつなぎます。テストモードで動作確認を必ず行います。
Step 4:本番稼働と監視
本番切替後、最初の1〜2週間はMakeのログで実行結果を毎日確認します。エラーが発生した場合の通知先(Slack・メール)も設定しておきましょう。
Step 5:シナリオを横展開する
1本のシナリオが安定稼働したら、同様の自動化を他の業務へ横展開します。シナリオをコピーしてカスタマイズするだけで、導入コストを大幅に下げられます。
中小企業の活用事例
事例1:飲食業(従業員20名)〜予約・問い合わせ管理を自動化
ホームページの予約フォームとGoogleカレンダーをMakeで連携。予約入力と同時にカレンダーへ自動登録し、スタッフSlackへ通知が届く仕組みを構築しました。以前は担当者が1日2〜3回フォームを確認して手入力していたため、週4〜5時間の作業が削減されました。
事例2:製造業(従業員45名)〜受注データの日次集計を自動化
複数の受注チャネル(EC・FAX転記スプレッドシート)からのデータをMakeが毎朝集計し、Google スプレッドシートへ自動集約。経営者は朝一で売上状況を確認でき、意思決定スピードが向上しました。
事例3:士業事務所(従業員8名)〜新規顧客の受付・ウェルカムフロー自動化
ホームページの相談申込フォームからCRM登録・担当者割り当て・ウェルカムメール送信をMakeで一気通貫に自動化。受付対応の時間が従来の30分/件から3分/件に短縮されました。
Makeのデメリット・注意点
①学習コストがある
Zapierと比較してインターフェースが複雑で、初めて触れる方は慣れるまでに1〜2週間程度かかります。ループ・集計・エラーハンドリングなどの高度な機能は特に理解に時間が必要です。公式ドキュメントや動画を活用した学習が不可欠です。
②オペレーション数に注意が必要
MakeはAPIコールの回数ではなく「オペレーション数」で料金が決まります。1つのシナリオ実行でモジュールが10個動けば10オペレーション消費するため、大量データを処理する場合は想定以上にオペレーション数が増えることがあります。事前の見積もりが重要です。
③接続先サービスのAPI制限
Make側ではなく、連携先のAPIレート制限(1分間に○回まで等)によって処理が遅れることがあります。特にGmailやSlackなど利用頻度の高いサービスは、APIの制限値を事前に確認しましょう。
④連携サービスの仕様変更リスク
連携先のサービスがアップデートでAPI仕様を変更した場合、Makeのシナリオが突然動かなくなることがあります。重要なシナリオは定期的に動作確認し、エラー通知を必ず設定しておきましょう。
⑤日本語サポートの制約
Makeの公式サポートは英語が中心です。日本語の公式ドキュメントは限られるため、Qiitaや国内コミュニティの情報を活用するか、日本語でサポートできるパートナー企業への相談も検討してください。
よくある失敗パターンと対策
失敗1:いきなり複雑なシナリオを作って挫折
【対策】最初は「フォーム送信→Slackに通知」程度のシンプルな2ステップから始めます。1本成功体験を積んでから複雑化する「小さく始める」アプローチが成功率を高めます。
失敗2:エラー通知の設定を忘れてシナリオが止まったまま放置
【対策】シナリオ作成時に必ずエラーハンドラーを追加し、エラー発生時にSlackまたはメールへ通知が届く設定をします。毎週月曜日に実行ログを確認するルールも決めましょう。
失敗3:本番切替前のテストをしないで大量データを誤送信
【対策】Makeのテストモードを使い、少量のサンプルデータで十分検証してから本番切替します。特にメール送信系のシナリオは自分宛てに送信テストを行ってください。
失敗4:複数担当者が管理しておらず退職時にシナリオが「ブラックボックス化」
【対策】各シナリオに説明メモを記入し、担当者情報・目的・関連ドキュメントへのリンクを記録します。チームプランを活用して複数名で管理する体制を作りましょう。
まとめ
Makeは中小企業の「ツール間のデータ転記」「手作業の繰り返し」を根本から解決できる強力なワークフロー自動化ツールです。Freeプランで試せるため初期コストはゼロ。まずは最も手間のかかる繰り返し作業を1つ選び、シンプルなシナリオから始めることが成功の近道です。
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