Makeの使い方 入門ガイド|中小企業のノーコード業務自動化シナリオ集

Make

「Excelへの手入力や、フォーム回答をコピーしてスプレッドシートに貼り付ける作業を、そろそろ自動化したい」――当協会がDX支援を行う中小企業の現場で、非常によく聞く相談です。プログラミングの知識がなくても、画面上でアイコンをつなぐだけで業務を自動化できるノーコードツールとして、いま注目されているのが「Make(メイク)」です。本記事では、Makeの基本的な使い方から料金プラン、他ツールとの比較、具体的な自動化シナリオまで、中小企業の担当者が実際に手を動かせるレベルでわかりやすく解説します。

Makeとは

Makeは、複数のWebサービス・アプリケーションを視覚的につなぎ合わせ、定型業務を自動化できるノーコード(プログラミング不要)の自動化プラットフォームです。旧称は「Integromat(インテグロマット)」で、2022年にMakeへとブランド名を変更しました。フォームの回答をスプレッドシートに転記する、新規注文が入ったらチャットに通知する、といった日常業務のちょっとした手作業を、条件分岐や繰り返し処理も含めて自動化できる点が特徴です。

ノーコード自動化ツールの位置づけ

Makeのようなツールは「iPaaS(Integration Platform as a Service)」と呼ばれるカテゴリに属し、複数のクラウドサービス間でデータを連携させる役割を担います。エンジニアを採用する余裕のない中小企業でも、業務担当者自身がフローを組めるのが最大の魅力です。

視覚的なシナリオ設計

Makeでは「シナリオ」と呼ばれるフローチャート形式の画面上に、各サービスの処理(モジュール)を丸いアイコンとして配置し、線でつないでいくことで自動化を組み立てます。処理の流れが一目で把握できるため、複雑な条件分岐を含むフローでも全体像を見失いにくい設計になっています。

料金プラン

Makeの料金プランは、月間のオペレーション実行数(処理の回数)に応じて段階的に用意されています。まずは無料のFreeプランで試してから、業務量に応じて上位プランへ移行するのが一般的な流れです。

プラン名 月額目安 特徴
Free 0円 月1,000オペレーションまで無料。個人利用・お試しに最適
Core 数千円台〜 基本的な自動化に必要な機能が一通り揃う入門プラン
Pro 1万円台〜 実行履歴の長期保存やカスタム変数など高度な機能に対応
Teams 数万円台〜 チームでの共同編集・権限管理に対応した組織向けプラン
Enterprise 要問い合わせ 大規模利用・専任サポート・SLA保証などを含む上位プラン

料金はオペレーション数や為替の影響で変動するため、契約前に公式サイトで最新の料金表を確認することをおすすめします。中小企業がスモールスタートする場合は、まずFreeプランで業務フローを試作し、実運用に耐えると判断してからCore以上へ移行する進め方が無駄がありません。

他ツールとの比較

ノーコード自動化ツールにはMake以外にも選択肢があります。代表的な「Zapier」「Power Automate」との違いを整理します。

ツール名 特徴 価格帯の目安 想定ユーザー
Make 視覚的なフロー設計、複雑な条件分岐・繰り返し処理に強い 無料〜中価格帯 細かい条件分岐を含む業務フローを作りたい担当者
Zapier 連携アプリ数が非常に多く、シンプルな設定で始めやすい Makeよりやや高め とにかく早く簡単に連携したい非エンジニア
Power Automate Microsoft 365との親和性が高く、社内システム連携に強い Microsoft契約内に含まれる場合あり すでにMicrosoft 365やGoogle Workspaceと併用する組織で、Office系ツールを多用する企業

すでにGoogle Workspaceを全社導入している企業であれば、Gmail・スプレッドシート・カレンダーとの連携のしやすさという観点でもMakeは有力な候補になります。単純な一対一連携で足りるならZapier、複雑な条件分岐や大量データ処理を伴うならMake、という使い分けが実務では現実的です。

使い方(ステップ形式)

実際にMakeでシナリオを作成するまでの流れを、初めての方でも迷わないようステップごとに解説します。

Step1:アカウント作成

公式サイトからメールアドレスで無料アカウントを作成します。クレジットカード登録は不要で、すぐにFreeプランでの利用を開始できます。

Step2:新規シナリオの作成

ダッシュボードから「Create a new scenario」を選択し、空白のキャンバスを開きます。ここに処理の流れを組み立てていきます。

Step3:トリガーとなるモジュールの追加

「フォームに回答があったら」「スプレッドシートに行が追加されたら」など、シナリオを起動するきっかけとなるモジュールを最初に配置します。

Step4:後続モジュールの接続

トリガーの後に実行したい処理(スプレッドシートへの書き込み、チャット通知の送信など)をモジュールとして追加し、線でつないでいきます。必要に応じて条件分岐(フィルター)を挟むことも可能です。

Step5:各サービスとの連携設定(認証)

Googleスプレッドシート、Slack、Chatworkなど、利用するサービスごとにアカウント連携(OAuth認証)を行います。一度設定すれば、以降のシナリオでも使い回せます。

Step6:テスト実行

「Run once」ボタンでシナリオを一度だけ手動実行し、意図した通りにデータが連携されるかを確認します。エラーが出た場合は、該当モジュールの設定を見直します。

Step7:スケジュール設定と本番運用

動作確認ができたら、シナリオを「ON」にし、実行間隔(即時・15分ごと・1時間ごとなど)を設定して本番運用を開始します。

具体的な自動化シナリオ例

中小企業の現場で特にニーズが高い自動化パターンを紹介します。

フォーム回答をスプレッドシートに自動転記し担当者へ通知

問い合わせフォームやアンケートフォームの回答を、自動でGoogleスプレッドシートに追記し、同時に担当者のチャットへ通知するシナリオです。転記漏れや対応遅れを防げます。

受注メールの内容を抽出して受注管理表に自動反映

特定フォーマットの受注メールを受信したら、件名・本文から必要情報を抽出し、受注管理用のスプレッドシートに自動で1行追加するシナリオです。手入力による転記ミスを削減できます。

請求書発行後にステータスを自動更新し経理へ通知

クラウド請求書サービスで請求書が発行されたタイミングを検知し、案件管理表のステータスを自動更新するとともに、経理担当へ通知を送るシナリオです。

カレンダー予定と連動したリマインド通知

Googleカレンダーに登録された商談・訪問予定の前日に、担当者へ自動でリマインドメッセージを送るシナリオです。予定の失念を防止できます。

活用事例

当協会がDX支援の現場で携わった、Make等のノーコードツール活用事例を業種・規模を匿名化してご紹介します。

事例1:卸売業(従業員15名規模)

受注フォームの回答をスプレッドシートに手作業で転記していた卸売業のお客様が、Makeでフォーム連携を自動化。転記作業がゼロになり、月あたり約10時間の作業時間を削減しました。

事例2:士業事務所(従業員8名規模)

顧客からの問い合わせメールを一件ずつ確認し、対応履歴を手動で管理表に記録していた士業事務所のお客様が、メール受信をトリガーに管理表へ自動記録する仕組みを構築。対応漏れの防止と履歴管理の精度向上につながりました。

事例3:小売業(従業員25名規模)

複数店舗の日報をチャットで個別に受け取り、本部担当者が手作業で集計していた小売業のお客様が、チャット投稿をトリガーに日報内容を自動で集計シートへ反映する仕組みを導入。集計作業の時間をほぼゼロにし、経営判断のスピードが向上しました。

デメリット・注意点

Makeは便利なツールですが、導入前に理解しておくべき注意点もあります。

学習コストがゼロではない

「ノーコード」とはいえ、モジュールの組み合わせ方やデータの受け渡し(マッピング)の考え方には一定の慣れが必要です。特に条件分岐が絡む複雑なシナリオは、最初は戸惑う担当者も少なくありません。

操作画面が英語ベースの箇所がある

インターフェースの日本語対応は進んでいますが、一部のエラーメッセージやヘルプドキュメントは英語表記のままの場合があります。読み解く際に多少のハードルになることがあります。

オペレーション数による従量課金

実行回数(オペレーション数)に応じて料金が変動するため、想定以上にシナリオが頻繁に動くと、当初想定していたプランの上限をすぐに超えてしまうことがあります。運用開始後の実行回数のモニタリングが欠かせません。

属人化のリスク

シナリオを作成した担当者しか内容を理解していない状態が続くと、その担当者が異動・退職した際に誰も保守できなくなるリスクがあります。設計思想や設定内容をドキュメント化しておくことが重要です。

外部サービス側の仕様変更の影響を受ける

連携先のサービス(各種SaaS)がAPI仕様を変更した場合、シナリオが突然動かなくなることがあります。定期的な動作確認が必要です。

よくある失敗パターンと対策

当協会が中小企業のDX支援を行うなかで実際によく見かける、Make導入時のつまずきと対策を紹介します。

失敗パターン1:いきなり複雑なシナリオを作ろうとして挫折する

最初から社内の複数業務をまとめて自動化しようとして、モジュール数が膨大になり収拾がつかなくなるケースが多く見られます。対策として、まずは「フォーム→スプレッドシート→通知」のような単純な1本のシナリオから着手し、小さな成功体験を積み重ねることが有効です。

失敗パターン2:テストをせずに本番運用してしまう

「Run once」による動作確認を省略していきなり本番稼働させ、想定外のデータが流れてトラブルになるケースがあります。必ず少量のテストデータで複数回動作確認したうえで本番運用に移すべきです。

失敗パターン3:担当者一人に運用が属人化する

シナリオ構築を1人の担当者に任せきりにした結果、その担当者不在時にエラーへ誰も対応できない状態に陥る事例があります。設定内容を簡単な手順書に残し、複数人が触れる体制を整えておくことが望まれます。

まとめ

Makeは、プログラミング知識がなくても複数のWebサービスを柔軟につなぎ、日常業務の定型作業を自動化できるノーコードツールです。料金プランはFreeから始められ、業務量に応じて段階的にステップアップできるため、中小企業でもスモールスタートしやすいのが特徴です。一方で、学習コストや属人化のリスクなど押さえておくべき注意点もあります。まずは小さな1本のシナリオから着手し、成功体験を積み重ねながら自動化の範囲を広げていくことをおすすめします。当協会では、Google Workspaceと連携した業務自動化のご相談も承っております。ぜひ当協会のDX/AI情報メディアもあわせてご覧ください。

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