kintoneは、中小企業が案件・顧客管理を自社の業務フローに合わせて仕組み化できるノーコード業務改善プラットフォームです。「Excelで顧客リストを管理していたが、担当者ごとにバラバラで最新情報が分からない」「案件の進捗が営業担当者の頭の中にしかない」——こうした悩みを抱える中小企業にとって、kintoneはプログラミング知識がなくても自社専用の案件・顧客管理アプリを作れる有力な選択肢です。本記事では、kintoneの基本機能から、案件・顧客管理を仕組み化する具体的な手順、料金プラン、他ノーコードツールとの比較、活用事例、注意点までを解説します。
kintoneとは
kintoneはサイボウズ株式会社が提供するクラウド型の業務改善プラットフォームです。ドラッグ&ドロップの操作でデータベース型のアプリを作成でき、案件管理・顧客管理・日報・問い合わせ管理など、Excelや紙で行っていた業務をチームで共有できる仕組みに置き換えられます。
kintoneが選ばれる理由
プログラミング不要でアプリを作成でき、社内の情報システム担当者がいない中小企業でも導入しやすい点が最大の特徴です。国内での導入実績が豊富で、業種を問わず幅広い業務に対応できる汎用性の高さも支持される理由です。
kintoneの機能・特徴
kintoneは単なる表計算ツールではなく、チームでの情報共有と業務プロセスの自動化を前提に設計されています。
ノーコードでのアプリ作成
あらかじめ用意されたテンプレートを使うか、フィールドをドラッグ&ドロップで配置するだけで、案件管理・顧客管理アプリを数十分程度で作成できます。
プロセス管理機能
「見込み」「商談中」「受注」「失注」といった案件のステータスをワークフローとして設定でき、次の担当者に通知を飛ばすなど、業務の抜け漏れを防ぐ仕組みを構築できます。
コラボレーション機能
レコードごとにコメントを付けられるため、案件の進捗や顧客とのやり取りの経緯をメールやチャットに散らさず、案件データそのものに集約できます。
外部連携(API・プラグイン)
kintone REST APIやプラグインを通じて、GmailやGoogle Workspace、会計ソフト、MAツールなど他システムと連携でき、案件管理を起点にした業務全体のデジタル化が可能です。
kintoneで案件・顧客管理を仕組み化する方法|使い方(ステップ形式)
ここでは、Excelや紙での顧客管理からkintoneへ移行し、案件・顧客管理を仕組み化する手順をステップごとに解説します。
Step1:顧客管理アプリを作成する
「顧客管理」テンプレートを選ぶか、会社名・担当者名・電話番号・業種・取引状況などのフィールドを配置して、自社に必要な顧客台帳アプリを作成します。既存のExcel顧客リストがあれば、CSVでそのままインポートできます。
Step2:案件管理アプリを作成し顧客アプリと紐づける
案件名・金額・受注確度・クロージング予定日などのフィールドを持つ案件管理アプリを作成し、「ルックアップ機能」で顧客管理アプリと紐づけます。これにより、1社の顧客に対して複数の案件履歴を一覧できるようになります。
Step3:プロセス管理でステータスを可視化する
案件管理アプリに「初回接触」「見積提出」「商談中」「受注」「失注」といったステータスをプロセス管理機能で設定します。案件が次のステータスに進むたびに担当者へ通知が届く仕組みを作ることで、対応漏れを防ぎます。
Step4:一覧・グラフでダッシュボード化する
案件金額の合計や受注確度別の件数をグラフ機能で可視化し、営業会議で使えるダッシュボードを作成します。ステータスごとの案件数をひと目で把握できるため、経営層が案件の進捗をリアルタイムで確認できるようになります。
Step5:通知・リマインダーを設定して運用に乗せる
「最終接触から2週間更新がない案件」を自動通知するリマインダーを設定し、放置されがちな休眠案件を防ぎます。運用開始後は、入力ルール(いつ・誰が・何を更新するか)を簡潔に文書化し、チーム全体に周知することが定着のポイントです。
料金プラン
kintoneは月額課金制で、ユーザー数に応じて料金が変動します。案件・顧客管理用途では、標準機能に加えてゲストユーザー機能などが使えるスタンダードコースが選ばれることが多くなっています。
| プラン | 月額料金(1ユーザーあたり) | 主な特徴 |
|---|---|---|
| ライトコース | 780円〜 | 基本のアプリ作成・共有機能 |
| スタンダードコース | 1,500円〜 | プロセス管理・グラフ・外部連携・ゲストユーザー機能 |
最低利用人数が設定されているプランもあるため、実際の料金は公式サイトの最新情報を確認のうえ試算することをおすすめします。
他ツールとの比較
案件・顧客管理を仕組み化するツールはkintoneのほかにも複数存在します。代表的なツールと比較しました。
| 項目 | kintone | AppSheet | Salesforce |
|---|---|---|---|
| 特徴 | 業務データベース構築に強い純国産ノーコード | スプレッドシートを土台にしたアプリ開発 | 営業支援に特化した高機能CRM |
| 料金目安 | 月額1,500円〜/人 | 月額1,500〜3,000円台/人 | 月額3,000円台〜/人 |
| 導入の難易度 | 低い(テンプレート豊富) | 中程度(Googleスプレッドシート知識が前提) | やや高い(初期設計に専門知識が必要) |
| 想定ユーザー | 案件・顧客管理を幅広い業務と一緒に仕組み化したい中小企業 | Google Workspaceを使い倒したいチーム | 営業組織が大きく、高度な分析まで求める企業 |
Excelや紙からの移行のしやすさ、日本語での導入実績の豊富さを重視するなら、kintoneが中小企業にとって取り組みやすい選択肢といえます。
活用事例
当協会が支援した中小企業でのkintone活用について、匿名化したうえでご紹介します。
事例1:建設業(従業員25名規模)
案件情報が営業担当者個人のExcelに散在し、担当者不在時に進捗が分からなくなっていた建設業のお客様。kintoneで案件管理アプリを構築し、プロセス管理で進捗を可視化した結果、担当者不在時でも他の社員が対応状況を即座に確認できるようになりました。
事例2:卸売業(従業員20名規模)
紙の顧客台帳と電話メモで顧客対応をしていた卸売業のお客様。顧客管理アプリと案件管理アプリを紐づけて導入したことで、過去の取引履歴を踏まえた提案ができるようになり、リピート受注率の向上につながりました。
事例3:士業事務所(従業員10名規模)
顧問先ごとの対応履歴がスタッフの個人ノートに分散していた士業事務所のお客様。kintoneに顧客対応履歴を一元化したことで、スタッフの引き継ぎ・休暇対応がスムーズになり、対応漏れによるクレームがなくなりました。
デメリット・注意点
kintoneは柔軟性が高い一方で、導入にあたって押さえておくべき注意点もあります。
初期のアプリ設計に一定の学習コストがかかる
自由度が高い分、フィールド設計やアプリ間の紐づけ方を誤ると、後から修正の手間が発生します。最初にどのような情報をどのアプリで管理するか、全体設計を描いてから着手することが重要です。
複雑な要件には追加のプラグイン・カスタマイズが必要になる場合がある
高度な自動計算や外部システムとの連携を行いたい場合、標準機能だけでは対応しきれず、プラグインの導入や開発が必要になることがあります。
ユーザー数が増えるとライセンス費用が積み上がる
1ユーザーごとの月額課金のため、全社展開する場合はライセンス費用の総額を事前に試算しておく必要があります。
入力ルールを決めないと情報の粒度がばらつく
自由記述欄が多いアプリ設計にすると、入力者によって記載内容の粒度がばらつき、後から集計・分析しにくくなります。入力ルールの整備が運用の質を左右します。
よくある失敗パターンと対策
kintoneでの案件・顧客管理導入でよくある失敗パターンと、その対策を紹介します。
失敗パターン1:最初から完璧なアプリを作ろうとする
すべての要件を盛り込もうとして開発が長期化し、結局使われないまま終わるケースです。対策として、まず最小限の項目でアプリを作り、運用しながら改善していくスモールスタートを徹底します。
失敗パターン2:現場への周知・教育をせずに切り替える
ツールだけ用意して使い方を周知しないと、結局Excelや紙の管理に戻ってしまいます。対策として、簡単な操作マニュアルを用意し、導入初期は入力状況を定期的にフォローします。
失敗パターン3:入力ルールを決めずに運用を始める
「いつ・誰が・何を更新するか」を決めないまま運用を始めると、情報の鮮度が保てなくなります。対策として、運用開始前に簡潔な入力ルールを文書化し、周知します。
まとめ
kintoneは、Excelや紙で管理していた案件・顧客情報をノーコードで仕組み化し、チーム全体で最新の状況を共有できる強力なツールです。顧客管理アプリと案件管理アプリを紐づけ、プロセス管理で進捗を可視化するというステップを踏むことで、中小企業でも短期間で実用的な仕組みを構築できます。自社での設計に不安がある場合は、外部の専門家に相談しながら進めることも有効です。当協会でもkintoneを含むノーコードツールの導入支援を行っています。詳しくは当協会のDX/AI情報メディアの他の記事もあわせてご覧ください。


