2026年9月、Google スプレッドシートの機能強化が3件発表されました。Android版での Gemini 対応、ピボットテーブルの計算フィールド用の数式エディタ、そしてセル上限の2,000万への倍増です。派手な発表ではありませんが、「データ量が多くて移行できない」「計算フィールドで毎回エラーになる」「現場でスマホから数字を見たい」という、中小企業の現場に実際にある詰まりに直接効く内容です(2026年9月時点)。
2026年9月の Google スプレッドシート更新とは|要点3行
- Gemini in Google Sheets が Android で利用可能に(公式発表・9月10日)。移動中でもデータの分析・把握ができる。
- ピボットテーブルの計算フィールドに専用の数式エディタ(公式発表・9月9日)。
- セル上限が最大1,000万から最大2,000万へ倍増(公式発表・9月10日)。新規・既存・インポートしたファイルのすべてに適用。
3件とも段階的なロールアウトで、機能が見えるまで最大15日かかります。自社の環境で使えるようになる時期は前後します。
① Gemini がスマホで使える|まず対象プランの確認を
Android 端末で対応するスプレッドシートを開き、スパークアイコン(Ask Gemini)をタップすると、データについて質問したり、分析的な示唆を生成したり、グラフを作ったりできます。「この表を要約して」といった提案プロンプトも用意されています。ただしモバイルの機能は現時点でデータ分析と示唆に絞られており、複雑な編集・書式設定・数式の生成にはWeb版の Gemini in Google Sheets が必要です。
最も確認すべきは対象プランです。Business Standard/Plus、Enterprise Standard/Plus、Google AI Pro for Education、個人向けは Google AI Pro と Ultra が対象で、Business Starter は対象外。「Google Workspace を契約していれば誰でも使える」機能ではありません。固有の管理者設定はなく、ドメイン・組織部門レベルでの Gemini for Google Workspace の有効化に従います。展開は9月9日から段階的に開始されています。
② 計算フィールドの手打ちが不要に|中小企業の実務への影響
ピボットテーブル内で計算フィールドを作成・編集する専用ダイアログが導入され、次の3点が加わりました。
- カスタム計算の作成・修正のための専用の数式エディタダイアログ
- 列名を手入力せずに挿入できるフィールド選択メニュー
- リアルタイムの構文・数式の検証(適用前にエラーを捕捉できる)
従来はサイドバーのインラインカードに数式を入力し、正確なフィールド名を手で打つ必要があり、リアルタイムのエラーチェックもありませんでした。対象はすべての Google Workspace のお客様と個人の Google アカウント利用者、管理者設定は不要です。展開は Rapid Release が9月8日、Scheduled Release が9月21日から。
③ セル上限2,000万|Excel からの移行を考える中小企業の活用
1スプレッドシートあたりのセル上限が、最大1,000万から最大2,000万セルへ倍増し一般提供となりました。新規作成でも、既存ブックの拡張でも、Microsoft Excel(.xlsx)やCSVからの大きなデータセットのインポートでも2,000万セルまで対応します。近日中にインポート時のファイルバイトサイズ上限も引き上げる予定とされています。管理者・利用者の設定は不要で、対象はすべての Google Workspace のお客様、Workspace Individual 契約者、個人アカウント利用者です。
注意点を1つだけ。上限が上がったのは「入る」という話であって、「快適に動く」保証ではありません。大量データでは動作速度・共同編集・関数の再計算に影響が出得るため、実データで試してから移行を判断してください。Excel には Excel の得意分野があり、優劣ではなく用途で使い分ける前提で考えるのが現実的です。
中小企業へのインパクト|コスト・業務・人材・競合
コスト:②③は追加費用なしで個人アカウントまで対象。一方①は上位プラン限定のため、Business Starter で使うならプラン変更の検討が要ります。業務:容量を理由に分割していた売上台帳や在庫データを1ファイルに集約できる可能性が広がります。人材:検証機能により、表計算に不慣れな担当者が計算フィールドで詰まる時間を減らせます。競合:現場で数字を確認できる体制は判断の速さの差につながり得ます。ただし効果は、元データが整っていることが前提です。
今すぐできる一歩
- いま Excel で扱っている一番大きなファイルの行数×列数を数え、2,000万セルに収まるか確認する
- 計算フィールドで毎回列名を手打ちしている業務を1つ選び、新しいエディタで作り直す
- 現場担当者の Android 端末でスプレッドシートを開き「この表を要約して」と聞いてみる(先に対象プランを確認)
当協会の視点|データの持ち方から支援します
ご相談で多いのは「機能が足りない」ではなく、「どのデータをどこに置き、誰が見るかが決まっていない」状態です。今回の3件は、その整理が済んでいる会社ほど効きます。まずはデータ活用 中小企業 完全ガイドで点検し、あわせてGoogle Workspace 2026年9月更新|Chat下書き保存とグラフのフォントもご確認ください。
まとめ
- Gemini の Android 対応は上位プラン限定で Business Starter は対象外。モバイルは分析と示唆に限られる。
- 数式エディタとセル上限2,000万は、全プランと個人アカウントまで対象で追加費用なし。
- いずれも段階的ロールアウト(最大15日)のため、自社で見える時期は前後する。まず実データで試すこと。

