Google は2026年9月17日付の公式ブログで、業務自動化ツール「Workspace Studio」のフローに4つの新機能を追加したと発表しました。外部サービスとの連携や独自処理を、フローの中で扱えるようになります。公式発表をもとに整理します(2026年9月時点)。
要点3行|Workspace Studio の業務自動化に4機能が追加
- フローに、カスタムスターター/カスタムステップ/第三者連携(Beta)/Webhook の4機能が追加されました。
- 4機能はいずれも管理者設定で既定オフです。管理者が有効化と承認要件を決めてから利用者が使う設計です。
- 対象は Business Starter を含みます。利用者向けの展開は Rapid Release が2026年9月21日から、Scheduled Release が同年9月30日からです。
出典:Google Workspace Updates 公式ブログ(2026年9月17日付)
Workspace Studio とは何か|ノーコード自動化の土台
Workspace Studio とは、Google Workspace 内の業務の流れを、プログラムを書かずに自動化できるツールのことです。利用者の入口は studio.workspace.google.com です。「フロー」とは、きっかけである「スターター」と、処理である「ステップ」を並べた自動処理の流れのことです。今回はこの2つを外へ広げる機能が加わりました。
カスタムスターターとは
カスタムスターターとは、他のアプリケーションで起きた出来事を条件にフローを起動させる、リアルタイムの引き金を自分で作成・公開できる機能のことです。
カスタムステップとは
カスタムステップとは、Google Apps Script などで作った独自のロジックを、フローの途中で実行できるようにする機能のことです。標準の部品では表現できない判定も組み込めます。
第三者連携(Beta)とは
第三者連携とは、Google Workspace と外部ツールの間でデータを受け渡しできる機能のことです。公式発表に挙げられている連携先は Asana / Confluence / Hubspot / Jira / Mailchimp / Quickbooks / Salesforce / Slack の8つです(名称は公式表記のまま)。現時点は Beta 提供です。
Webhook とは
Webhook とは、外部のエンドポイントへ HTTP リクエストを送信し、外部側のアクションを起動できる仕組みのことです。対応エディションでは、管理者が送信先URLの許可リストを設定できます。
4機能は既定オフで、管理コンソールの Apps > Google Workspace > Workspace Studio 配下の「Custom steps settings」「Integration settings」「Webhook settings」で有効化します。承認要件は同じ階層の Approvals で変更でき、カスタムステップと連携は固有の承認設定を持ちます。Webhook は「Sensitive Steps(機微なステップ)」の承認設定に従います。公式は、これらが2026年8月発表のエンタープライズ向けセキュリティ管理に裏打ちされていると説明します。
9月15日発表の Gemini 第三者コネクタとの違い
混同しやすい発表が直前にあります。2026年9月15日公式発表の「Gemini in Google Workspace の第三者コネクタ(MCP経由)」です。詳細はGemini が MCP で外部ツールと直接連携する件の解説記事をご覧ください。
両者は別の機能です。Gemini の第三者コネクタは会話の中から外部SaaSの情報を参照するもので、管理者側は既定オンでした。今回の第三者連携は、あらかじめ組んだ定型フローの中で外部SaaSとデータをやり取りするもので、既定オフです。対象も一部しか重なりません。Workspace Studio 側には Confluence・Jira・Slack があり、Gemini コネクタ側にあった Monday・Atlassian Rovo は含まれていません。
中小企業への影響|Business Starter から対象になる意味
対象エディションは広めです。Business は Starter・Standard・Plus、Enterprise は Standard・Plus、Education は Fundamentals・Standard・Plus、ほかに Google AI Pro for Education、Teaching and Learning、AI Expanded Access が対象です。Webhook のURL許可リスト機能のみ Business Plus 以上などに限定されますが、機能本体は最小構成から使えます。
コスト面では、追加ライセンスを前提とせずに自動化の土台へ触れられます。業務面では、外部SaaSとの転記・通知・起票といった手作業の往復が検討対象に入ります。人材面では、Apps Script の知見がある担当者が1人いれば、その資産を活かせる可能性があります。競合面では同じ基盤が規模を問わず提供されるため、差がつくのは自社の業務手順を言語化できているかです。内製化の考え方は中小企業のノーコード内製化 完全ガイドもご参照ください。
ただし、これは海外発の発表です。日本語環境の管理画面での表示や、日本国内で各第三者サービスがどこまで対応するかは、今回の公式発表からは確認できません。導入可否は自社の実業務に照らして判断する必要があります。
今すぐできる一歩|ノーコード自動化の小さな実証
費用をかけずにできる確認が3つあります。第一に、管理コンソールで前述の3設定の現状を見ることです。既定オフのため、何もしなければ利用者側には現れません。第二に、承認要件を先に決めることです。特に Webhook は外部送信を伴うため、誰が何を承認するかを先に決めると後戻りを避けられます。第三に、社内の Google Apps Script を棚卸しすることです。一覧にすれば、カスタムステップ化の候補が見えます。
まずは失敗しても影響が小さい業務を1つ選び、効果を数字で測れる形で試すことをお勧めします。測り方はAI導入 効果測定の始め方で解説しています。自動化は必ず効率化をもたらすものではなく、手順が定まり例外処理の扱いが決まっている場合に効果が出やすい、という条件付きの話です。
当協会の視点|Google Workspace 業務自動化の伴走支援
当協会は Google Workspace の導入設計とAI・DX活用支援を行っています。つまずきやすいのは機能そのものではなく、管理者設定・承認フロー・対象業務の切り出しという段取りです。貴社の体制に合わせ、設定の判断から最初に自動化する業務の選定まで一緒に整理いたします。
まとめ
Workspace Studio のフローに4機能が追加されました。いずれも管理者が既定オフの設定を開けて初めて使え、Business Starter から対象です。9月15日発表の Gemini 第三者コネクタとは目的も既定値も異なります。まずは3設定と承認要件の確認から始め、小さく試してから広げるのが現実的です(2026年9月時点)。
Google Workspace Studioの仕組みや導入手順を体系的に知りたい方は、常緑ガイドGoogle Workspace Studioとは?ノーコード自動化の始め方もあわせてご覧ください。


