議事録の書き方で最も大切なのは、「誰が何を話したか」を残すことではなく、「何が決まり、誰がいつまでに何をするか」を残すことです。この記事では、書き方の基本、会議別テンプレート、AIで時短する方法と注意点を解説します。
結論を先にまとめると、次の3点を押さえるだけで議事録は「読まれる記録」に変わります。
- 決定事項・保留事項・ToDo(担当者と期限)を分けて書く
- 会議後24時間以内に共有する
- 文字起こしと要約はAIに任せ、最終確認は必ず人が行う
議事録とは?目的は「決定事項と次のアクション」を残すこと
議事録の定義
議事録とは、会議で話し合われた内容のうち、決定事項・保留事項・次に取るべきアクションを、参加者と関係者が後から確認できる形で記録した文書です。会議の発言を一字一句残す「発言録(逐語録)」とは目的が異なります。
議事録が果たす3つの役割
- 合意の証拠:何が決まったかを文書で残し、「言った・言わない」を防ぎます。
- 行動の起点:担当者と期限を明記したToDoが、会議後の業務を動かします。
- 情報共有と引き継ぎ:欠席者や後から加わったメンバーが、短時間で経緯を把握できます。
中小企業でよく起きている課題
当協会(一般社団法人中小企業販促・DX支援協会)のDX支援の現場では、「議事録が発言録のように長くなり、結局誰も読まない」「ToDoの担当者と期限が書かれていないため、次の会議でも同じ話を繰り返している」というお声を多く伺います。書き方の型を決めることと、作成作業そのものを軽くすることの両方が必要です。
議事録の書き方の基本とテンプレート
書き方の基本5ポイント
- 5W1Hで基本情報を押さえる:日時・場所・参加者・議題を冒頭に書き、決定事項やToDoも「誰が・いつまでに・何を」が読み取れるかで見直します。
- 事実と意見を分ける:「売上が前月比で下がった」は事実、「原因は値上げだと思う」は意見です。意見には発言者を添えます。
- 決定事項・保留事項・ToDoを分ける:決定事項は「〜とする」と言い切り、保留事項は次に判断する時期を添え、ToDoは担当者・内容・期限を必ずセットで書きます。担当が部署名だけだと、実際には誰も動かないことがあります。
- 結論から書く:各議題は「結論 → 理由 → 補足」の順で数行にまとめ、詳細は資料へのリンクで補います。
- 会議後24時間以内に共有する:時間が空くほど記憶があいまいになり、ToDoの着手も遅れます。誤りは参加者から指摘してもらうルールにします。
基本テンプレート(全会議共通)
| 項目 | 書く内容 |
|---|---|
| 会議名・日時・場所 | 会議の名称、開始・終了時刻、会議室名またはオンラインの別 |
| 参加者・記録者 | 参加者、欠席者、議事録の記録者 |
| 決定事項 | 合意した内容を言い切りで記載 |
| 保留事項 | 未決の論点と、次に判断する時期 |
| ToDo | 担当者・内容・期限をセットで記載 |
| 次回予定 | 次回の日時と主な議題 |
定例会議・商談のテンプレート
定例会議は、前回ToDoの進捗確認から始めるのがポイントです。
- 前回ToDoの進捗(完了/対応中/未着手)
- 数値・KPIの報告(事実のみ)
- 課題と対応方針、今回の新規ToDo(担当者・期限)
商談は、顧客の発言を要望・課題・懸念に分けて残すと、次回提案の精度が上がります。
- 顧客の現状と課題(顧客の言葉をできるだけそのまま)
- 要望・導入時期・決裁の流れ(確認できた範囲で)
- 懸念点と、次回までの宿題(自社側・顧客側)
商談記録を顧客管理システムと連携させる方法は、営業の商談議事録をAIとCRMで活用する方法で解説しています。
プロジェクト会議・現場打合せのテンプレート
| 会議の種類 | 必ず入れる項目 | 書くときのコツ |
|---|---|---|
| プロジェクト会議 | スケジュールの進捗、課題・リスク、仕様変更の有無、ToDo | 仕様変更は「変更前・変更後・理由・承認者」を必ず残す |
| 現場打合せ | 作業内容、工程・納期、安全上の注意、手配・発注事項 | 場所は図面番号・写真番号で特定し、口頭の「あそこ」を残さない |
AIで議事録作成を時短する方法
基本の流れは「録音 → 文字起こし → 要約 → 人が確認」
AIを使った議事録作成は、次の4ステップで進めるのが基本です。
- 録音:参加者に録音することを伝え、了承を得てから録音します。
- 文字起こし:音声をテキストに変換します。会議ツールの機能や文字起こしサービスを使います。
- 要約:生成AIに文字起こしを渡し、テンプレートの形に整理させます。
- 人が確認:固有名詞・数字・決定事項・担当者と期限を人が必ず確認し、修正してから共有します。
Web会議ツールの文字起こし機能を活用する
Google Meet、Microsoft Teams、Zoomといった主要なWeb会議ツールには、会議の文字起こし(トランスクリプト)を作成する機能が用意されています。Google Workspace や Microsoft 365 をすでに契約している企業は、まず手元のツールで使える機能を確認するのが近道です。ただし、利用できる機能はご契約のプランや管理者の設定によって異なります。2026年9月時点の情報をもとに記載していますが、最新の対応状況は各社の公式サイトをご確認ください。
ChatGPT・Claude・Geminiで要約するプロンプト例
文字起こしのテキストが用意できたら、ChatGPT、Claude、Geminiなどの生成AIに要約を依頼します。次のようにテンプレートの形を指定すると、毎回同じ構成の議事録が得られます。
- 「以下は社内会議の文字起こしです。『決定事項』『保留事項』『ToDo(担当者・内容・期限)』『次回予定』の見出しで議事録にまとめてください。発言にない内容は推測で補わず、不明な点は『要確認』と書いてください。」
- 「ToDoは担当者と期限が明示された発言だけを抜き出し、表形式にしてください。期限が話されていないものは『期限未定』としてください。」
「推測で補わない」と指示すると、AIが話されていない内容を付け加えるリスクを下げられます。
ツール選びの考え方
会議ツールの標準機能で足りるか、専用のAI議事録ツールを使うかは、会議の数・対面会議の多さ・専門用語の多さで判断します。主要なAI議事録ツールの比較は、中小企業向けAI議事録ツールの比較記事をご覧ください。
AI議事録の活用事例
事例1:製造業(従業員30名規模)の定例会議
週1回の生産会議の議事録を、担当者が手書きメモから清書しており、作成に時間がかかっていました。Web会議ツールの文字起こしと生成AIでの要約に切り替え、テンプレートに「前回ToDoの進捗」欄を設けたところ、作成時間が短くなっただけでなく、ToDoの持ち越しが目に見えるようになり、会議での確認が短時間で済むようになりました。
事例2:専門サービス業(従業員10名規模)の商談記録
営業担当ごとに商談メモの粒度がばらばらで、担当者が不在のときに顧客からの問い合わせに答えられないことが課題でした。商談テンプレートを統一し、録音から要約までをAIで行って共有フォルダに保存するルールにしたことで、誰が対応しても経緯を確認できる状態になりました。
事例3:建設業(従業員50名規模)の現場打合せ
現場での打合せ内容が口頭のまま残らず、指示の食い違いによる手戻りが起きていました。スマートフォンで打合せを録音し、事務所で文字起こしと要約を行い、図面番号と写真番号を添えて当日中に共有する運用にしたところ、「聞いていない」というやり取りが減りました。専門用語の誤変換が多かったため、確認担当者が用語を修正する手順を必ず入れています。
AI議事録のデメリット・注意点
録音には参加者への告知と同意が必要
社内会議でも、録音する際は冒頭で目的と用途を伝え、了承を得るのが基本です。社外との商談では相手先の方針で録音できない場合もあるため、事前に確認し、断られた場合の代替手段(手書きメモ等)を決めておきましょう。
機密情報・個人情報の取り扱い
文字起こしや要約のために外部のAIサービスへデータを送る場合、そのサービスが入力データをどのように保存・利用するかを確認する必要があります。法人向けプランの設定内容や社内ルールを確認し、人事・給与・取引条件など機密性の高い会議では、使用可否をあらかじめ決めておくと安心です。
専門用語・固有名詞の誤変換
文字起こしは、業界特有の用語や社内の略称、商品名、人名を誤って変換することがよくあります。よく出る用語は一覧にしておき、確認時に重点的に見直しましょう。
AI要約の誤りは人が確認しないと防げない
生成AIの要約は、発言の趣旨を取り違えたり、話されていない内容を補ったりすることがあります。特に「決まったこと」と「検討中のこと」の区別や、数字・期限の誤りは業務に直結します。AIの出力は下書きと位置づけ、共有前に必ず人が確認する運用にしてください。
保存期間とデータ管理のルール
録音データ、文字起こし、議事録をどこに、いつまで保存するかを決めておかないと、不要なデータが増え続け、情報漏えいのリスクも高まります。音声は議事録の確定後に削除する、議事録は共有フォルダで管理するなど、社内規程としてルールを定めておきましょう。
よくある失敗パターンと対策
失敗1:議事録が発言録になって誰も読まない
文字起こしをほぼそのまま共有してしまうケースです。対策は、冒頭に「決定事項」と「ToDo」を置き、経緯は短く、詳細は文字起こしへのリンクで補うことです。読む人が最初の数行で要点をつかめる構成にします。
失敗2:ToDoの担当者と期限がなく、同じ話を繰り返す
「検討する」「確認しておく」で終わり、誰がいつまでにやるのかが決まっていないケースです。会議の最後の数分で、ToDoの担当者と期限をその場で読み上げて確認する時間を設けるのが効果的です。次回の会議は前回ToDoの確認から始めます。
失敗3:共有が遅れ、記録として使われない
議事録の清書に時間がかかり、共有が数日後になるケースです。AIで下書きを作り、確認担当者が当日中から翌日までに仕上げるルールにします。
失敗4:AI任せで誤りのまま共有してしまう
AIの要約をそのまま配布し、数字や担当者の誤りが後から発覚するケースです。確認担当者を会議ごとに決め、「固有名詞・数字・決定事項・担当者と期限」の4点だけは必ず目で確認する、というチェック項目を固定しておきましょう。
まとめ
議事録は「型」と「AI」と「人の確認」で回る
議事録の目的は、決定事項と次のアクションを残し、会議の成果を業務につなげることです。5W1Hで基本情報を押さえ、事実と意見を分け、決定事項・保留事項・ToDo(担当者と期限)を分けて書き、24時間以内に共有する。この型をテンプレートにすれば、誰が書いても同じ品質になります。
そのうえで、録音・文字起こし・要約はAIに任せ、固有名詞・数字・決定事項・担当者と期限は人が確認する運用にすると、作成時間を短くしながら正確さも保てます。録音の同意、機密情報の扱い、保存期間のルールもあわせて決めておきましょう。
AI活用や業務のデジタル化に関する情報は、当協会のDX・AI情報サイトでも発信しています。
議事録づくりそのものをなくすなら、AI議事録アプリ「HANALOG(ハナログ)」
当協会では、会議や商談の会話を録音するだけで、AIが文字起こし・要約・決定事項・担当者と期限つきのアクションまで整理するAI議事録アプリ「HANALOG(ハナログ)」を提供しています。中小企業のDX支援の現場で繰り返し伺ってきた「専門用語が正しく残らない」「作った議事録が使われない」という課題を解消するために開発したサービスです。
- 業界の言葉に対応:業種プロフィールと専門語セットに加え、商品名や社内略称をユーザー辞書・組織辞書へ登録でき、業界特有の言葉が崩れません。
- 録音用ボットの参加が不要:オンライン会議は対応ブラウザからマイクとPC音声を直接録音します。
- 会議室の外でも記録できる:顧客訪問や現場打合せはスマートフォンから録音でき、録音済みの音声ファイルのアップロードにも対応しています。
- 会議後およそ10分で「動ける議事録」:要約・決定事項・担当者と期限つきのアクションを自動で整理し、共有リンクやTXT・Word・PDFで渡せます。議事録テンプレートは自社の会議に合わせて調整できます。
- 音声を持ち続けない設計:録音データは標準で文字起こし完了から3日後に自動削除します(音声保存を選択した場合も最大30日)。
料金は個人プラン 月額2,000円(税別・利用時間の上限なし)、法人・チーム向けのビジネスプランは1ユーザー月額2,000円(税別・2ユーザーから)です。最新の料金・機能は公式サイトをご確認ください。



