「顧客情報がエクセルと名刺と個人のスマホに散らばっている」「外出先から顧客の履歴を確認できない」——中小企業の営業現場でよく聞く悩みです。こうした課題を、プログラミングなしで解決できるのがノーコードツール「Glide」です。スプレッドシートをもとに、スマホアプリを数時間で作れます。本記事では、Glideで顧客管理アプリを作る方法を、機能・手順・料金・比較・事例・注意点まで具体的に解説します。
Glideとは?ノーコードで作るスマホアプリ
Glideとは、Google スプレッドシートやGlide独自のデータベースをもとに、プログラミングなしでスマホアプリやWebアプリを作れるノーコードツールです。表形式のデータを用意するだけで、見やすいアプリ画面が自動生成され、検索・入力・写真添付などの機能を直感的に追加できます。
なぜ中小企業に向くのか
専用の顧客管理システム(CRM)は高機能な反面、費用が高く、設定も複雑で、中小企業には過剰なことが少なくありません。Glideなら、自社の業務にちょうど合ったシンプルな顧客管理アプリを、低コストかつ短期間で作れます。作った後に自社で手直しできる点も、外注に頼りきりにならずに済む大きな利点です。
Glideで作る顧客管理アプリの主な機能
顧客一覧と検索
顧客名・会社名・電話番号などをスマホから検索でき、外出先でもすぐに情報を呼び出せます。名刺の山やエクセルを探す手間がなくなります。
対応履歴の記録
訪問や電話のたびに、対応内容をその場でスマホから記録できます。誰がいつ何を話したかが残るため、担当者の引き継ぎや不在時の対応がスムーズになります。
写真・位置情報の添付
現場写真や名刺画像を添付したり、訪問先の位置情報を記録したりできます。営業やフィールドワークの多い業種で特に役立ちます。
Glideで顧客管理アプリを作る手順(ステップ形式)
Step1:データの元になる表を用意する
Google スプレッドシートに「顧客名・会社名・連絡先・担当者・対応履歴」などの列を作り、顧客データを入力します。この表がアプリのデータベースになります。
Step2:Glideにデータを読み込む
Glideに登録し、用意したスプレッドシートを連携します。数クリックで、表の内容がアプリの初期画面として自動生成されます。
Step3:画面をカスタマイズする
一覧の表示項目、詳細画面のレイアウト、検索や絞り込みの条件などを、ドラッグ操作で調整します。ここはプログラミング不要で直感的に行えます。
Step4:入力フォームと権限を設定する
現場から新規顧客や対応履歴を追加できる入力フォームを設け、閲覧・編集の権限を役割に応じて設定します。
Step5:メンバーに配布して運用する
アプリのリンクを共有し、各自のスマホからアクセスできるようにします。使いながら、必要な項目や画面を追加・改善していきます。
Glideの料金プラン
プラン別の料金目安
| プラン | 月額目安 | 主な用途 |
|---|---|---|
| Free | 0円 | 個人利用・お試し |
| Maker | 約25ドル〜 | 小規模チームの本格利用 |
| Team/Business | 約60ドル〜 | 複数アプリ・多人数運用 |
※料金・プラン構成は変更される場合があります。最新の料金はGlide公式サイトでご確認ください。まずは無料プランで試作し、実用の目処が立ってから有料プランに移行するのが安全です。
他のノーコードツールとの比較
Glide・AppSheet・kintoneの比較
| ツール | 強み | データ基盤 | 向いている用途 |
|---|---|---|---|
| Glide | デザイン性・スマホ操作性 | スプレッドシート等 | 営業・現場向けの見やすいアプリ |
| AppSheet | Google連携・自動化 | スプレッドシート等 | 在庫・点検などの業務アプリ |
| kintone | 業務データベース・拡張性 | kintone独自DB | 社内の各種業務管理を統合 |
Glideは特に、スマホでの見やすさと操作性に優れ、営業担当や現場スタッフが使う顧客管理アプリに向いています。より複雑な業務データベースを組みたい場合はkintone、Google Workspace 中心で自動化を重視するならAppSheetという使い分けが目安です。
Glideの活用事例(3件)
事例1:不動産業(従業員12名規模)— 物件・顧客の一元管理
物件情報と顧客の希望条件をエクセルで別々に管理していた不動産業のお客様では、Glideで両者を紐づけたアプリを作り、外出先から条件に合う物件をすぐ提案できるようになりました。
事例2:訪問サービス業(従業員18名規模)— 訪問履歴の記録
訪問内容を紙の日報で提出していた訪問サービス業のお客様では、Glideアプリで現場からその場で履歴を記録できるようにし、事務所での転記作業をなくしました。
事例3:卸売業(従業員25名規模)— 取引先カルテの共有
担当者ごとに取引先情報が属人化していた卸売業のお客様では、Glideで取引先カルテを全社共有し、担当者が不在でも他のメンバーが状況を把握して対応できるようになりました。
Glideのデメリット・注意点
注意1:大規模・複雑な要件には不向き
数万件規模のデータや、複雑な業務ロジックが必要なシステムには向きません。あくまで軽量な業務アプリ向けと割り切る必要があります。
注意2:データ管理とバックアップ
元データがスプレッドシートの場合、その管理やバックアップは自社で行う必要があります。誤削除に備えた運用ルールが欠かせません。
注意3:セキュリティ・権限設計
顧客情報を扱うため、閲覧・編集権限の設計と共有範囲の管理が重要です。誰でも全データにアクセスできる状態は避けましょう。
注意4:無料プランの機能・容量制限
無料プランには利用人数やデータ量の制限があります。本格運用時はプランのアップグレードが必要になる点を見込んでおきましょう。
よくある失敗パターンと対策
失敗1:作り込みすぎて完成しない
あれもこれもと機能を盛り込むと、いつまでも運用開始できません。まず必要最小限の機能で公開し、使いながら足していくのが正解です。
失敗2:入力ルールを決めず表記が乱れる
会社名や日付の表記がバラバラだと、検索や集計が機能しません。入力ルールを決めて共有しましょう。
失敗3:現場を巻き込まず使われない
管理者だけで作ると現場の実態に合わず放置されます。実際に使う担当者の意見を取り入れて設計することが定着の鍵です。
顧客管理アプリに入れるべき項目の設計
最初は必要最小限の項目に絞る
顧客管理アプリを作るとき、最初からあらゆる情報を管理しようとすると、入力が面倒で使われなくなります。まずは「会社名・担当者・連絡先・最終接触日・次のアクション」といった、営業活動に直結する最小限の項目に絞るのがコツです。運用しながら本当に必要な項目を足していく方が、現場に定着しやすくなります。
「次にやること」を管理できるようにする
顧客情報を記録するだけでなく、「いつ・誰が・何をするか」という次のアクションを管理できると、フォロー漏れを防げます。営業の成果は、この地道なフォローの積み重ねで決まるため、アプリ設計でも重視したいポイントです。
既製CRMとノーコード自作の使い分け
まずノーコードで小さく始める価値
高機能な既製CRMは魅力的ですが、費用と設定の負担が大きく、使いこなせずに終わる中小企業も少なくありません。Glideのようなノーコードツールで、自社に必要な機能だけの顧客管理をまず作り、運用のイメージをつかんでから、必要に応じて本格的なCRMを検討する——この順序なら、無駄な投資を避けられます。
自社で手直しできる強み
Glideの大きな利点は、作った後も自社で画面や項目を手直しできる点です。業務の変化に合わせて柔軟に調整できるため、外注に頼りきりにならず、現場の実態に合ったアプリを保ち続けられます。この「自走できる」感覚が、DXを社内に根付かせる第一歩になります。
まとめ
Glideを使えば、プログラミングなしで自社にちょうど合った顧客管理アプリを、低コストかつ短期間で作れます。ポイントは、小さく作って公開し、現場を巻き込みながら育てることです。当協会のDX支援現場でも、既製のCRMに手を出す前にGlideで小さく始めた中小企業ほど、無理なく現場に定着させています。まずはスプレッドシートの顧客リストを一つ、Glideでアプリにしてみることから始めてみてください。ノーコード活用の相談は当協会のサイトでも受け付けています。


