Google Workspace の初期設定の途中で、これまで使っていた他社メールの過去メールを取り込めるようになりました。取り込み元はIMAP方式に対応したメールサービスです。IMAP(アイマップ)とは、メールをサーバー上に置いたまま、パソコンやスマートフォンなど複数の端末から同じ受信箱を読み書きするための通信方式のことです。
今回の「IMAPメール取り込み」は、Google Workspace へ切り替えるときの最初の関門である「過去のメールをどう移すか」を、管理者が数クリックで済ませられるようにする機能です。本記事では要点・影響・試し方・注意点を整理します(2026年9月時点)。
Google Workspace のIMAPメール取り込みとは|要点3つ
Googleは2026年9月23日、Google Workspace の公式アップデートブログで、IMAPサーバーからのメール取り込みを簡単にする新しい手順の一般提供を発表しました(Google Workspace Updates の発表記事)。要点は次の3つです。
- セットアップの途中で取り込める:Google Workspace の初期設定の流れの中に取り込み機能が表示されます。操作は「取り込み元のIMAPサーバーに接続する」「IMAPのメールアドレスとパスワードを入力する」の2段階です。
- 取り込めるのは1ユーザー分:この新機能で取り込めるのは1人分の過去メールです。複数のIMAPアカウントをまとめて移す場合は、ヘルプセンターに掲載されている別の手順(IMAPアカウントからのメール移行)を使います。
- すべての顧客に提供済み:Rapid Release・Scheduled Release のどちらの環境にも提供済みで、対象はすべての Google Workspace 顧客です。管理者専用の機能で、一般ユーザー側の設定はありません。
取り込みを実行できるのは、ドメインの所有権確認と、Gmailでメールを受け取るための設定(MXレコードの切り替えなど)を終えた後です。取り込みはバックグラウンドで進むため、その間も他の設定作業を続けられます。取り込み元の例は Hostinger、Zoho、Yahoo!、iCloud などです。
IMAP移行が簡単になると中小企業にどんな影響があるか
中小企業が Google Workspace への切り替えをためらう理由として多いのが、「過去のメールが消えてしまわないか」「移行作業に誰が何時間かけるのか」という不安です。
コスト面:代表者1人から使い始めるような小規模なケースでは、移行専用ツールを用意せず標準画面で過去メールを取り込める可能性が高まり、追加費用を抑えやすくなります。
業務面:取り込みがバックグラウンドで進むため、セットアップ作業を止めずに進められます。待ち時間が減り、切り替え当日の段取りが組みやすくなります。
人材面:専任のIT担当者がいない会社でも、手順が2段階にまとまったことで着手しやすくなりました。兼務で社内のIT対応を担っている方は、ひとり情シスのヘルプデスク対応ガイドもあわせてご覧ください。
競合・取引先との関係:取引先がクラウド型のツールへ移る中、移行のハードルが下がったことで「いつかやる」を「今期中にやる」へ前倒ししやすくなりました。
一方で、この新機能は「1ユーザー分」に限られます。社員が複数いる会社では、全員分をどう移すかを別途設計する必要があります。Microsoft 365 からの切り替えを検討している場合は、Microsoft 365 から Google Workspace への移行に関する記事も参考になります。
Google Workspace メール移行の前に今すぐできる一歩
費用をかけずに確認できる次の4つから始めるのがおすすめです。
1. 現行メールがIMAPに対応しているか確認する
メールソフトの設定画面や契約先の設定マニュアルで「受信サーバー(IMAP)」の記載を確認します。国内のレンタルサーバー(一般的な共用サーバーなど)のメールは多くがIMAPに対応していますが、今回の公式発表で例示されているのは海外のサービスが中心で、国内事業者の名前はありません。お使いのサービスで実際に接続できるかは、試してみるまで分かりません。
2. アカウント数と容量を棚卸しする
メールアドレスを個人用と info@ のような共有アドレスに分けて書き出し、各アカウントの容量も控えます。取り込める期間や容量の上限、フォルダの扱いについては、発表記事には記載がないため、Google Workspace のヘルプセンターで最新の条件をご確認ください。
3. まず1人分で試す
今回の新機能が1ユーザー分を対象としていることを活かし、まず代表者など1人分で取り込みを試すのが現実的です。取り込み後に、日本語の件名や本文が文字化けしていないか、添付ファイルが開けるか、フォルダ分けがどう反映されたかを確認します。
4. パスワードの扱いを決めておく
取り込みでは、元のメールのアドレスとパスワードを入力します。移行が終わったら、元のメールのパスワードを変更しておくと安心です。また、取り込み元のサービスによっては、二段階認証の設定やアプリ用パスワードの発行が必要になる場合があります。事前に取り込み元の設定画面を確認しておくと、当日つまずかずに済みます。
当協会の視点|メール移行は「アカウント設計」とセットで考える
今回のアップデートで、1人分の過去メールを移す作業は簡単になりました。ただ実際の導入では、移した後の運用のほうが悩みどころになりがちです。
たとえば、info@ や問い合わせ用の共有アドレスを誰が受け取るのか、退職者のメールをどう残すのか、部署ごとにどこまで情報を見られるようにするのか、といった点です。移行前に決めておくと手戻りを減らせます。共有アドレスや権限の考え方は、Google Workspace のグループ設計と権限管理の記事で詳しく解説しています。
当協会では Google Workspace 導入支援・メール移行設計として、次の支援を行っています。
- 現行メール環境の棚卸し(アカウント数・容量・IMAP対応状況の確認)
- 1人分の試験移行の進め方と、文字化け・添付ファイルなどの確認ポイントの整理
- 複数ユーザーの移行手順の設計と、切り替え日の段取りづくり
- 移行後のグループ・共有ドライブ・権限の設計
「うちのメールはIMAPで取り込めるのか分からない」という段階からでもご相談いただけます。
まとめ|IMAP取り込みでメール移行の第一歩が踏み出しやすくなった
Google Workspace の初期設定の途中で、IMAP方式の他社メールから1ユーザー分の過去メールを数クリックで取り込めるようになりました(2026年9月時点)。
ただし、対象は1人分のみで、複数人の移行には別の手順が必要です。国内のメールサービスで接続できるか、文字化けや容量の問題がないかは、実際に試して確かめる必要があります。まずは現行メールのIMAP対応とアカウント数を確認し、1人分の試験移行から始めてみてください。


