セキュリティ対策推進枠とは|デジタル化・AI導入補助金2026で最大150万円

情報セキュリティ

「デジタル化・AI導入補助金2026」のセキュリティ対策推進枠は、中小企業・小規模事業者がサイバーセキュリティ対策サービスを導入する費用の一部を補助する制度です。補助額は5万円〜150万円、補助率は中小企業1/2以内・小規模事業者2/3以内で、対象は「サイバーセキュリティお助け隊サービス」の利用料(最大2年分)です。

本記事では、制度の概要から補助額、申請の流れ、締切スケジュール、注意点までを2026年9月27日時点の事務局公式情報をもとに整理します。

補助率・補助上限額・スケジュールは変更される場合があります。最新情報は公式サイトをご確認ください。

  1. セキュリティ対策推進枠とは
    1. サイバー攻撃による事業停止リスクを下げるための枠
    2. なぜ今、中小企業にセキュリティ対策が求められているのか
    3. お助け隊サービスでできること:相談・監視・駆けつけ・保険をワンパッケージで
    4. 専任担当者がいない企業ほど効果が出やすい
  2. 補助率・補助額・対象経費
    1. 補助内容の一覧
    2. 補助額の考え方
  3. 申請の流れとスケジュール
    1. Step 1:GビズIDプライムを取得する
    2. Step 2:SECURITY ACTIONを宣言する
    3. Step 3:IT導入支援事業者とサービスを選ぶ
    4. Step 4:交付申請を行う
    5. Step 5:交付決定後に契約・導入する
    6. Step 6:実績報告を提出する
    7. 申請スケジュール(5次・6次)
    8. これから準備する場合は6次以降が現実的
  4. 活用事例(想定される使い方)
    1. 事例1:製造業(従業員20名)で取引先からの要請に対応
    2. 事例2:小売業(従業員4名の小規模事業者)でECサイトの受注データを保護
    3. 事例3:士業事務所(職員5名)で顧客の機密情報を守る体制づくり
  5. デメリット・注意点
    1. 補助金は後払いで、いったん全額を立て替える
    2. 選べるサービスは登録済みのお助け隊サービスに限られる
    3. 補助対象は最大2年分の利用料まで
    4. 採択が保証されるわけではない
  6. よくある失敗パターンと対策
    1. 失敗1:締切直前に準備を始めて間に合わない
    2. 失敗2:交付決定前に契約・支払いをしてしまう
    3. 失敗3:他の枠との申請の出し方を確認していない
    4. 失敗4:導入して終わりになり、社内に定着しない
  7. まとめ
    1. セキュリティ対策推進枠は「取引先から求められる前」の備えに
    2. まずは無料でご相談・診断ください

セキュリティ対策推進枠とは

サイバー攻撃による事業停止リスクを下げるための枠

セキュリティ対策推進枠は、サイバーインシデントによって事業継続が困難になるといったリスクを低減することを目的とした枠です。独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が公表している「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」に掲載されたサービスのうち、IT導入支援事業者が提供し、事務局に登録されたサービスの導入経費が補助の対象になります。

申請は「お助け隊サービス」単品で行います。業務ソフトやPCと組み合わせて申請する枠ではない点が、通常枠との大きな違いです。

なぜ今、中小企業にセキュリティ対策が求められているのか

IPAの「2024年度 中小企業における情報セキュリティ対策に関する実態調査」(2025年5月公表、4,191社が回答)では、自社診断25項目のうち「脅威や攻撃手口を知り社内共有する仕組み」が37.9%、「対策のルール化・明示」が39.2%、「緊急時の体制整備・対応手順」が39.8%と、組織としての対策の実施率が低い結果でした。同調査の速報版では、サイバー攻撃の被害にあった企業の平均被害額は73万円、復旧までの平均日数は5.8日とされています。

当協会(一般社団法人中小企業販促・DX支援協会)のDX支援の現場でも、取引先からセキュリティ対策の確認シートが届いて初めて「何をどこまでやっているのか説明できない」と慌てる中小企業が少なくありません。ウイルス対策ソフトは入れていても、監視や緊急時の相談先まで用意している企業はまだ多くないのが実情です。

補助金全体の仕組みや他の枠については、IT導入補助金(デジタル化・AI導入補助金)2026の申請ガイドもあわせてご覧ください。

お助け隊サービスでできること:相談・監視・駆けつけ・保険をワンパッケージで

サイバーセキュリティお助け隊サービスは、中小企業が単独では整えにくいセキュリティ対策を、ひとまとめにして提供するサービスです。主な内容は次のとおりです。

  • 相談窓口:不審なメールや挙動について気軽に問い合わせられる窓口
  • 異常の監視:ネットワークや端末の異常を検知・通知する仕組み
  • 事案発生時の初動対応:駆けつけ支援などを含むインシデント発生時の対応
  • 簡易サイバー保険:被害発生時の費用負担を補う保険

専任担当者がいない企業ほど効果が出やすい

情報システム担当者を置けない企業では、「異常に気づけない」「気づいても誰に相談すればよいかわからない」ことが被害拡大の原因になりがちです。お助け隊サービスは、この「気づく」「相談する」「初動を取る」の部分を外部に任せられる点に価値があります。サービスの新しい類型については、IPAお助け隊サービスの新類型に関する解説記事でも紹介しています。

補助率・補助額・対象経費

補助内容の一覧

項目 内容
補助率 中小企業:1/2以内/小規模事業者:2/3以内
補助額 5万円〜150万円
補助対象経費 サービス利用料(最大2年分)
対象サービス IPA「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」掲載サービスのうち、事務局に登録されたもの
申請形態 お助け隊サービス単品で申請/IT導入支援事業者と共同で申請

補助率・補助上限額・スケジュールは変更される場合があります。最新情報は公式サイトをご確認ください。

補助額の考え方

補助の対象は最大2年分のサービス利用料です。たとえば小規模事業者であれば、対象経費の2/3以内(上限150万円)が補助されます。ただし補助金は後払いのため、導入時点ではいったん全額を自社で支払う必要があります。資金繰りの計画は事前に立てておきましょう。

申請の流れとスケジュール

Step 1:GビズIDプライムを取得する

電子申請にはGビズIDプライムが必要です。取得までに約2週間かかるため、補助金の利用を考え始めた段階で申請しておくことをおすすめします。

Step 2:SECURITY ACTIONを宣言する

IPAの「SECURITY ACTION」で、★一つ星または★★二つ星の宣言を行います。自社の取り組み方針を明確にする意味もあるため、形式的に済ませず社内で内容を共有しておくとよいでしょう。

Step 3:IT導入支援事業者とサービスを選ぶ

事務局に登録されたIT導入支援事業者と相談し、自社の規模・業務に合うお助け隊サービスを選定します。申請は支援事業者と共同で行います。

Step 4:交付申請を行う

支援事業者とともに申請内容を固め、締切までに交付申請を提出します。

Step 5:交付決定後に契約・導入する

交付決定の通知を受けてから、契約・発注・支払いを行います。交付決定前の契約・発注・支払いは補助対象外です。

Step 6:実績報告を提出する

導入後、期限までに事業実績報告を提出します。内容が確認されたのち、補助金が交付されます。

申請スケジュール(5次・6次)

交付申請の受付は2026年3月30日から始まっており、以下のスケジュールは通常枠・インボイス枠・セキュリティ対策推進枠で共通です。

締切回 申請締切 交付決定日 事業実施・実績報告期限
5次 2026年9月29日(火)17:00 2026年11月9日(予定) 2027年4月30日
6次 2026年10月30日(金)17:00 2026年12月10日(予定) 2027年5月31日(予定)

7次以降の日程は事務局から順次公表されます。

これから準備する場合は6次以降が現実的

5次の締切は2026年9月29日17:00です。これからGビズIDプライムの取得やSECURITY ACTIONの宣言を始める場合は、6次(10月30日締切)以降を目標にするのが現実的です。GビズIDの取得に約2週間かかることを踏まえると、6次を狙うなら10月上旬には準備に着手する必要があります。

活用事例(想定される使い方)

以下は、制度の使い方をイメージしていただくための想定例です。実際の採択事例ではありません。

事例1:製造業(従業員20名)で取引先からの要請に対応

大手取引先からサプライチェーン全体のセキュリティ強化を求められ、確認シートへの回答が必要になったケースです。お助け隊サービスを導入して監視と相談窓口を整えることで、「異常を検知する仕組み」「緊急時の連絡先」を具体的に説明できるようになります。取引継続の条件を満たすための投資を、補助金で軽減する使い方です。

事例2:小売業(従業員4名の小規模事業者)でECサイトの受注データを保護

ネットショップの顧客情報を扱っているものの、専任のIT担当者はいないケースです。小規模事業者は補助率が2/3以内となるため、費用負担を抑えつつ監視と初動対応の体制を持てます。万一の際に簡易サイバー保険があることも、経営者の安心材料になります。

事例3:士業事務所(職員5名)で顧客の機密情報を守る体制づくり

顧客の個人情報や財務情報を多く扱う事務所で、不審メールの判断を職員個人に任せていたケースです。相談窓口に問い合わせられる環境を整えることで、判断のばらつきを減らし、事務所としての対応ルールを定めるきっかけになります。

デメリット・注意点

補助金は後払いで、いったん全額を立て替える

補助金は実績報告の後に交付されます。導入時には利用料を自社で支払う必要があるため、キャッシュフローに余裕を持った計画が欠かせません。

選べるサービスは登録済みのお助け隊サービスに限られる

補助対象になるのは、IPAのサービスリストに掲載され、事務局に登録されたサービスだけです。すでに使っているセキュリティ製品や、気になっている製品が対象かどうかは、事前に支援事業者へ確認してください。

補助対象は最大2年分の利用料まで

補助されるのは最大2年分の利用料です。3年目以降は自社負担で継続するか、見直すかを判断する必要があります。導入時点で継続費用も見込んでおきましょう。

採択が保証されるわけではない

補助金ポータルの集計によると、通常枠等の採択率は1次46.3%、2次51.5%、3次44.0%でした。セキュリティ対策推進枠の採択率とは異なる参考値ですが、申請すれば必ず採択されるものではない点は理解しておく必要があります。

よくある失敗パターンと対策

失敗1:締切直前に準備を始めて間に合わない

GビズIDプライムの取得には約2週間かかります。締切の直前に動き出すと、IDが届かず申請できないという事態になりかねません。対策として、補助金の利用を検討し始めた時点でGビズIDとSECURITY ACTIONを先に済ませておきましょう。

失敗2:交付決定前に契約・支払いをしてしまう

「早く導入したい」と先に契約してしまうと、その費用は補助対象外になります。支援事業者とのやり取りでは、交付決定の通知を受けるまで契約・発注・支払いを行わないことを最初に確認しておくのが対策です。

失敗3:他の枠との申請の出し方を確認していない

通常枠やインボイス枠と並行して検討している場合、同時に提出できないといった申請上の制約があります。複数の枠を使いたいときは、公募要領で申請の順序や条件を確認し、支援事業者と申請計画を立ててから進めましょう。

失敗4:導入して終わりになり、社内に定着しない

サービスを導入しても、社員が相談窓口の存在を知らなければ効果は限定的です。導入時に「不審なメールはここに相談する」といった社内ルールを明文化し、全員に周知することが大切です。

まとめ

セキュリティ対策推進枠は「取引先から求められる前」の備えに

デジタル化・AI導入補助金2026のセキュリティ対策推進枠は、サイバーセキュリティお助け隊サービスの利用料(最大2年分)を、中小企業は1/2以内、小規模事業者は2/3以内で補助する制度です。補助額は5万円〜150万円で、相談窓口・監視・初動対応・簡易保険をまとめて導入できます。

5次の締切は2026年9月29日17:00、6次は10月30日17:00です。GビズIDプライムの取得には約2週間かかるため、6次以降を狙う場合も早めの準備が必要です。取引先から確認シートが届いてから慌てるのではなく、補助金を活用して先に体制を整えておくことをおすすめします。

中小企業のDX・AI活用に関する最新情報は、当協会のDX・AI情報サイトでも発信しています。

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