「必要なファイルはGoogle ドライブにあるはずなのに、どこにあるか分からない」。社内の情報共有でこうした悩みを抱える中小企業に向いているのが、Google サイトで作る社内ポータルです。Google Workspace を契約していれば追加料金なしで使え、プログラミングの知識がなくても、お知らせ・カレンダー・マニュアルへの入口を1つのページにまとめられます。
本記事では、料金、他ツールとの比較、作り方の手順、活用事例、注意点までを解説します。
Google サイトとは
Google サイトの概要
Google サイトとは、Google が提供するWebサイト作成ツールです。ブラウザ上でテキストや画像、ボタンを配置するだけでページを作れ、HTMLなどの専門知識は必要ありません。Google Workspace の各プランに含まれており、個人のGoogle アカウントでも無料で利用できます。
社内ポータルに向いている理由
社内ポータルとは、社内のお知らせ・規程・マニュアル・申請書・予定などへの「入口」をまとめたページのことです。Google サイトが社内ポータルに向いている理由は次のとおりです。
- Google Workspace とつながる:Google ドライブのファイル、Google ドキュメント、Google スプレッドシート、Google カレンダー、Google フォーム、YouTube、Google マップなどをページに埋め込めます。
- 公開範囲を組織内に限定できる:Google Workspace の組織内のユーザーだけが閲覧できるように設定できるため、社内向けの情報を載せられます。
- 複数人で共同編集できる:Google ドキュメントと同じように、編集者を追加して複数の担当者でページを更新できます。
- テンプレートがある:用意されたテンプレートを使えば、白紙から考えずに作り始められます。
- 独自ドメインも設定できる:必要に応じて、自社のドメインでサイトを公開することも可能です。
Google サイトの料金プラン
Google Workspace に含まれ追加料金なし
Google サイトは単体の有料サービスではなく、Google Workspace の各プランに含まれており、追加料金はかかりません。Google Workspace の料金(年間プラン・1ユーザーあたり月額・税別、2026年9月時点)は次のとおりです。
| プラン | 月額(1ユーザー・税別) | 主な特徴 |
|---|---|---|
| 個人のGoogle アカウント | 無料 | Google サイトを無料で作成可能。組織単位での公開範囲の管理は Google Workspace が前提 |
| Business Starter | 800円 | Google サイトを含む基本機能。少人数で始める企業向け |
| Business Standard | 1,600円 | Google サイトを含む。Business Starter より上位の機能を備えたプラン |
| Business Plus | 2,500円 | Google サイトを含む。セキュリティや管理機能を強化したい企業向け |
※料金は年間プランの1ユーザーあたり月額(税別・2026年9月時点)です。最新の料金は公式サイトをご確認ください。
既に Google Workspace を使っている企業はコストゼロで始められる
すでに Google Workspace を使っている企業であれば、新たな費用なしで社内ポータルを作り、反応を見ながら育てていけます。Google Workspace 全体の機能やプランの選び方は、中小企業向けGoogle Workspace 完全ガイドで詳しく解説しています。
Google サイトと他ツールとの比較
社内ポータル・社内wikiに使われる主なツール
代表的なツールを比較します。
| ツール | 主な機能 | 価格 | 想定ユーザー |
|---|---|---|---|
| Google サイト | ページ作成、Google ドライブ・カレンダー・フォーム等の埋め込み、組織内限定公開 | Google Workspace に含まれ追加料金なし(個人アカウントは無料) | Google Workspace を利用している中小企業 |
| Notion | ドキュメント・データベース・社内wikiを一体で管理 | 無料プランあり/有料プランあり(公式参照) | 文書やナレッジを細かく構造化して管理したい企業 |
| Microsoft SharePoint | 社内ポータルサイト、文書管理、Microsoft Teams との連携 | Microsoft 365 の対象プランに含まれる(公式参照) | Microsoft 365 を利用している企業 |
| kintone(ポータル) | 業務アプリのポータル画面、お知らせ掲示、データ管理 | 有料プランあり(公式参照) | 業務データの管理とあわせて情報共有したい企業 |
※他ツールの価格・機能は2026年9月時点の概要です。最新情報は各公式サイトをご確認ください。
Google サイトを選ぶべきケース
社内でGoogle Workspace を使っているなら、Google サイトが第一候補です。アカウントや権限の管理が共通で、ドライブのファイルをそのまま埋め込めるため、新しいツールを覚える負担がほとんどありません。社内標準が Microsoft 365 なら SharePoint、ナレッジの構造化を重視するなら Notion、業務データ管理と一体化したいなら kintone も候補です。
Google サイトで社内ポータルを作る方法(ステップ形式)
Step 1:新しいサイトを作成する
Google ドライブの「新規」から Google サイトを選ぶか、Google サイトのトップ画面から空白のサイトまたはテンプレートを選んで作成します。サイト名は用途が分かる名前にします。
Step 2:トップページを作る
トップページには、社員が毎日見る情報だけを置きます。おすすめは「お知らせ」「今月の予定」「よく使うリンク」の3つです。
Step 3:ナビゲーション(ページ構成)を決める
「総務・人事」「経理」「営業」「マニュアル」など、部署や用途ごとにページを作り、上部のメニューから移動できるようにします。メニューは3〜6項目程度に絞ります。
Step 4:カレンダー・お知らせ・マニュアルを埋め込む
会社の行事予定は Google カレンダーを、各種申請は Google フォームを、マニュアルや規程は Google ドライブのフォルダやドキュメントを埋め込みます。お知らせは、Google スプレッドシートやドキュメントを埋め込んで更新する方法や、ページ上のテキストを直接書き換える方法があります。元のファイルを更新すればポータル側にも反映されるため、二重管理を防げます。
Step 5:公開範囲と権限を設定する
公開時に、閲覧できるユーザーを自社の組織内に限定します。あわせて、埋め込んだドライブのファイルやフォルダの共有設定も確認してください。ポータルを閲覧できても、元ファイルに閲覧権限がなければ中身は表示されません。共有設定の考え方は、Google ドライブの共有・権限設定ガイドも参考になります。
Step 6:更新の担当と運用ルールを決める
ページごとに更新担当者を決め、「掲載期限を過ぎたお知らせは下げる」などの簡単なルールを決めます。公開後は朝礼や社内メールで周知します。
Google サイトを使った社内ポータルの活用事例
以下は、当協会の支援経験や一般的な活用例をもとに、特定の企業が分からないよう再構成したモデルケースです。
事例1:建設業(従業員20名規模)|現場と事務所の情報共有
現場ごとの図面や工程表、安全書類がメールや個人のフォルダに分散しており、現場から事務所への確認の電話が頻繁にありました。現場ごとのページを作り、図面フォルダと工程表のスプレッドシートを埋め込んだことで、職長がスマートフォンから必要な資料を確認できるようになり、確認の電話が減りました。
事例2:小売業(従業員40名規模・複数店舗)|店舗への連絡とマニュアルの一元化
本部から各店舗への連絡がメールとチャットに混在し、見落としが起きていました。ポータルのトップにお知らせと販促カレンダーを置き、接客・レジ・開店準備のマニュアルをページにまとめました。店舗スタッフは「まずポータルを見る」習慣がつき、新人教育にもマニュアルページが使われるようになりました。
事例3:士業事務所(職員10名規模)|書式と業務手順の集約
申請書類の書式や業務手順が担当者ごとのフォルダにあり、最新版がどれか分からない状態でした。業務別のページに最新の書式と手順書へのリンクを集約し、更新担当者を決めたことで、古い書式を使ってしまうミスが減り、新しい職員の立ち上がりも早くなりました。
当協会(一般社団法人中小企業販促・DX支援協会)の Google Workspace 導入支援の現場でも、「ファイルはドライブにあるのに、どこにあるか分からない」という声を多く伺います。こうした企業では、フォルダ構成を大きく作り直す前に、Google サイトで情報への「入口」を1つ作るだけで、社内からの「あのファイルはどこですか」という問い合わせが減るケースがよく見られます。
Google サイトで社内ポータルを作るデメリット・注意点
デザインの自由度が高くない
Google サイトは、用意されたテーマとレイアウトの範囲でページを作る仕組みです。細かなデザインの調整や複雑な機能の追加には向きません。見た目より「探しやすさ」を優先しましょう。
情報が増えると探しにくくなる
ページや埋め込みが増えるにつれて、目的の情報にたどり着きにくくなります。ページ構成を定期的に見直し、使われていないページは整理しましょう。
権限設計を誤ると情報が見えない・見えすぎる
サイトの公開範囲と、埋め込んだファイルの共有設定は別々に管理されます。「ポータルは見えるのにファイルが開けない」「役員向けの資料が全員に見えてしまう」といったことが起きないよう、公開前に一般社員のアカウントで表示を確認しましょう。
更新が止まると使われなくなる
最も多い問題は、更新が止まって古い情報が残り、社員が見なくなることです。更新担当者とタイミングを決めておかないと、ポータルが形骸化します。
Google サイトの社内ポータルでよくある失敗パターンと対策
失敗1:最初から完璧なポータルを作ろうとする
全部署のページと全マニュアルをそろえてから公開しようとして、いつまでも公開できないケースです。対策:お知らせ・予定・よく使うリンクの3つだけで公開し、利用状況を見ながらページを追加します。
失敗2:担当者1人に任せきりにする
作成した担当者だけが更新方法を知っており、異動や退職で更新が止まるケースです。対策:編集者を複数人登録し、ページごとの更新担当者を決めて一覧にしておきます。
失敗3:ファイルをポータルとドライブで二重管理する
ポータル用にファイルをコピーして載せた結果、ドライブ側だけが更新され、ポータルに古い版が残るケースです。対策:ファイルはコピーせず、ドライブの元ファイルやフォルダを埋め込む・リンクする運用に統一します。
失敗4:社内に周知しない
ポータルを作っても、社員がその存在を知らなければ使われません。対策:ブラウザのブックマークやスマートフォンのホーム画面への追加を案内し、社内連絡では「詳細はポータルに掲載しています」と入口をそろえます。
まとめ
Google サイトで社内情報の「入口」を1つにする
Google サイトは、Google Workspace があれば追加料金なしで社内ポータルを作れるツールです。
- Google ドライブ・カレンダー・フォームなどを埋め込み、社内情報の入口を1つにまとめられる
- 公開範囲を組織内に限定でき、複数人で共同編集できる
- 最初はお知らせ・予定・よく使うリンクの3つから小さく始める
- 埋め込むファイルの共有設定と、更新担当者・運用ルールを必ず決める
中小企業の情報共有やGoogle Workspace 活用に役立つ情報は、当協会のDX・AI情報サイトでも発信しています。「自社に合ったポータルの構成を相談したい」という方は、お気軽にお問い合わせください。


